壺

[ハ特-弐]壺の中にいたのは、植動物モンドラゴラ・ペノン

こんにちは、マサカヒカルです。

ハレギ特魔書店の窓際に置いてあるから、時折り見え隠れするもの。
それは、植物を身に付けた小さな動物。植動物のモンドラゴラでした。

初めてモンドラゴラを見ました! いや、全体像は全くわかりませんでしたが。
さすが魔導士の書店です。伝説的なモンスターがいるものです。

似た名前で、マンドラゴラマンドレイクなんて言われている植物がいます。土から上は植物ですが、根の部分が裸の人間の形をしているんです。
また有毒ではありますが、万能薬になったり、不老不死の薬にもなるという話もあり、欲す人たちが後を絶えません。しかし、マンドラゴラは引き抜かれる際、絶叫し、その声を聞いた人や動物は死に至るのです。なかなかやっかいなのです。

 

壺の中にいるモンドラゴラは、すでに土から出て叫ぶ様子はなさそうです。ハレギさんは、一度も鳴いたところを見たことはないそうです。鳴かないのかもしれません。

そのモンドラゴラは、ペノンと名前がついていました。
ハレギさんがふっと思いついて名付けたそうです。

全体のフォルムがわかりませんが、名前からしてきっとかわいい姿をしているのだと勝手に想像してしまいます。

 

五年前に、ここに書店兼家を建てる際にいたそうです。ハレギさんが数日説得してどいてもらうことに。それからずっと壺の中にいるとのこと。

水と光があれば、動かずに生きていられるらしく、壺の中で過ごしても問題ないらしい。すでに五年も壺の中にいるのですから。壺の隣にじょうろが置いてあって、時々ハレギさんが水をかけてあげるそうです。

話だけ聞いていると、もう完全に植物ですよね。それなら動物としての姿をしなくてもいいのでは、と思ってしまいます。生態についてもまだ謎の多いモンドラゴラです。

 

本に囲まれた書店のテーブルを挟んでハレギさんと話している間も、ちらちらと壺から顔?を出して、わたしが向くとすぐに引っ込むペノン。
カサカサっと帽子のようちかぶっている葉が揺れるのです。

 

ハレギさんは、こんなに訪問客を気にしていることはないと言います。
わたしのことが気になっているペノン。いったいなぜなんでしょうか。わたし、人なんですけど……。

海のそばに住んでるから潮の匂いでもするのでしょうか。

なんて、冗談で言ったら、ハレギさんが「潮の匂いはともかく、ペノンにしか感じないものをマサカくんにはあるじゃないかと推測するよ」と言われました。

 

フロイハイルでは、人以外に好かれることも少なくありませんが、この時はまだそんなものが自分にあるわけないと思っていました。でも、今こうして旅に出てみると、ペノンは今のわたしに起こることを予期していたのかもしれません。

ハレギさんのことを全然書いていませんね。次は、ハレギさんについて書こうと思います。

明日も朝が早いので、このへんで……。

 

野宿の火がくすぶり始めた森の中より。