小屋の外のテーブル

手ほどき会と人ならざる者

こんばんわ、マサカヒカルです。

フェレルの子どもたちに魔法の手ほどきをした時のお話を書こうと思っていたのですが、どう便りに書いていいのか悩んでいました。

手ほどき会に参加した子どもたち

三人の子どもたちが参加してくれました。

フェレルの町唯一のパン屋さんの子どもさん4才と、

由緒ある鳥使いの血筋をひく12才の少女、

そして、人形造形家のご子息7才。

 

ただパン屋と鳥使いの二人は、
もう魔法を使いこなせいるので、
わたしの出番は正直ありませんでした。

親御さんにしっかり教育されているようでしたので、
わたしがアドバイスなどすることもありませんでした。

先日の貝探しで、フェレルには逓送魔法使いがいると話題になり、
ひと目見たかったのかもしれません。

デモンストレーションとして、
近距離でしたが物を移動させてみました。
目の前で、物が消えて、その先に出現する光景を初めてみた子どもたちは、
声を上げて驚いてくれました。

しかし、三人の子どもたちには、逓送魔法の素質はありませんでした。
それでも気を落としたりはせず、
自分がもつ魔法を磨き上げてもらえればと、伝えました。

まだ魔力がない子ども

手ほどき会が始まってからずっと、
人形造形家の親御さん・お母さんの表情が曇っていました。

親御さんだけでなく、
お子さんもここにいるのが嫌そうな顔でした。

その理由は、お子さんと握手をした時、すぐにわかりました。
まだ魔力がその子には宿っていなかったのです。

手ほどき会が終わった後、少し親御さんと話をしました。
ただ、わたしに相談されても魔力に目覚めるかは個々人で差があるので、
わたしの力ではどうにもなりません。

フロイハイルの世界では、
10才までに魔力を持たなければ一生魔法を使うことができないとされています。

彼はまだ7才なので、様子を見る他ありません。
無理矢理、魔力をもたすこともできないので、仕方ありません。

ならざる都市

魔力がない、
と聞いて思い出すのが、マシーナリーの国です。

マシーナリーは、機械仕掛けの都市で、
魔力を持たない人々が集まる国と言われています。

魔法が使えないと生きづらい、のは確かです。
何が辛いかといえば、魔法が使えず不便ということより、
周囲の視線です。

魔力がない = 人ならざる者

と、思われてしまうのです。

そうなると、次第に向かう場所は限られてしまうのです。

果たして彼が数年後どうなっているのか、
わたしにはわかりません。

彼もそのお母さんも、なんとかしたい思いで、
わたしのところにやってきたのだと思います。

そう簡単に、相談できる内容でもありませんし、
なにか糸口になるとならと、意を決してこの会に、
参加してくださったのだと思うと、
この自分の無力さがどうにもなりません。

人形とは、魂が込められたものか、込めるものか

雑貨に立ち寄った時、
人形造形家が作った髪の長い少女の人形が売っていました。

服も貴族が着ていそうな立派な衣装でした。

しばらく、その人形から目が離せませんでした。

ぐぅーっと、わたしは引きつけられていたのです。

まるでが込められているかのように、
その人形にあたたかさを感じました。
人のぬくもり、とさえ思えました。

そこで、わたしはふと思ったのです。

もし、魔力のない彼が親御さんからその技術を受け継ぎ、
人形を作るというのであれば、
それはすでに魔法なのではないかと。

たぶん、わたしが人形を作ってもそうはならないと思うのです。

わたしがその人形に惹きつけられたように、
人形に魂を込めるのも魔法だと思うのです。

彼がその魔法をもつのも、そう遠くはないと思いました。

暗くなると自然に光るランプを買って置いた小屋のあるフロイハイルより。