風に吹かれてなびくカラフルな数々の旗

もう誰かのためは、もういいや

少し日にちが空いてしまいましたね。

マサカヒカルです。

伝説の貝・シロコムラス探しが終わった後、
いろいろと対応に追われてしまい、
落ち着いて便りを書く時間がとれませんでした。

そのあたりもおいおい便りに残したいと思います。

越境隊入隊の誘い

さて、シロコムラスを現地へ逓送したわたしですが、
その功績を買われて、越境隊入隊のお誘いがありました。

わたしにとっては、たった一回、物を送っただけのことです。
ましてや水晶玉もあって、ほぼピンポイントで逓送することができる
状況だったのです。

もちろん、誰もができるというわけではありませんが。

薬の効力有効期間の残り時間も迫るなか、
緊急を要する状態での正確な逓送魔法ができたことが良かったようです。

越境隊でも、そういった状況下で逓送魔法を行える人が必要だったらしく、
今回、シロコムラスを逓送したアクションに
とても高い評価をつけてくださったのです。

わたしは越境隊入隊を断った

わたしのその行動を評価していただけたのは、
とても嬉しかったのは事実です。

でも、それを仕事として行うには抵抗があった。

かりにも、わたしは前職にその仕事をしていて自ら辞めてきたのです。
声をかけられたからと言って、
おいそれと元の仕事と同じような職につけるはずがありません。

越境隊の仕事は、一刻を争い、人命を左右する仕事となります。

とても刺激的で、名誉な仕事だとは思う。

しかし、その刺激的なカルザスの町から逃げてきたわたしです。

首を縦に振れるはずがありません。

もう誰かのためは、もういいや

カルザスの町を去った時、わたしはそう思ったのです。

世のため、人のため。
魔法は、人を幸せにするもの。

暗黙に、心に刻み込まれた格言とでもいえばいいのでしょうか。

最初に言ったのは誰なのでしょうか。
人々は、なにかあれば、そう口にするのです。

そこから離れて、まともに生きていくこともできないだろうと言われました。

まとも、とはなにか。

わたしには、何が何だかわからない。

主流を離れ、意識を周囲ではなく自分に向けたかったのです。

人がわたしに望むことと、わたしが自分に望むこととのズレ

越境隊は、わたしに逓送魔法をしてほしい。

わたしは、それをしたいとは思わない。

フェレルの町に来て、少し自分を理解しつつあります。

フェレルの町は、
カルザスほど体で感じる時間の流れも早くなく、
絶対的な色の付いた強風は吹いていません。

その風に逆らえば、吹き飛ばされてしまうのです。

フェレルでは、その風を自分で吹かせ、
誰かに強要することなく、
ただひとり自分だけそれに乗ることができるのです。

わたしはこの町で、それを知ることができました。

ズレはズレでかまわないのです。
そのズレを自分がどう考えるかが重要なのだと思うのです。

必要だと思えば、ズレを狭め直して近づき、
必要なければ、そのままでいいと思うのです。

自分で決めていいとわかったのです。
さらにズレてしまっても、いいのです。

正解はないのだから。

もし、そのズレを直しても、心が窮屈になってしまうのであれば、
それはまたカルザスにいたときと同じことになると思ったのです。

だから、わたしは越境隊のお誘いを断ったのです。

越境隊の人は、かなり残念がっていましたが、
わたしはこれでよいと思ったのです。

これでひとつのつながりは消え、
わたしはまた一歩、一人に近づいていくと思っていました。

しかし、そうではなかったのです。

もし、この時、わたしが越境隊に入ると言っていれば、
ここ数日のことはなかったと思います。

実は、フェレルの町の人に、魔法をつかわない仕事を頼まれたのです。
これも断ることもできたのですが、
わたしは自然と承諾していたのです。

わたしが、こどもたちに魔法の手ほどきをすることになったのです。

とはいっても、わたしはいろんな魔法が使えるわけではないので、
逓送魔法の素質があるのかどうか、
そんなところを見る会が開かれたのです。

そのことは、また次の便りで。

調理場に窓のない小屋のあるフロイハイルより。